生活保護費引き下げのニュースから考える「老齢基礎年金」のこと

こんにちは、石川です。

実は、一年前に書いた記事がここにありますので、まずはそれをお読みください。


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 私は数年前から高知県内の町村、そして28年度からは香美市でも、国の事業である「生活困窮者自立支援事業」の家計相談事業を担当しています。

その仕事をしてきて、常に疑問に感じていたことがあります。

そのことを書いてみたいと思います。

この事業に取り組んでいる方たちや、行政関係者、大学などの研究者の方、マスコミ、そしてファイナンシャル・プランナーの方たちにもお読みいただき、ご感想など頂ければと思っています。


生活困窮者自立支援事業と生活保護制度のこと

たまに勘違いされるのですが、この「生活困窮者自立支援事業」は基本的には「生活保護」になってしまった人を対象とは考えません。

「生活保護」とは「健康で文化的な最低限度の生活を保障」するものであり、その状態になってしまっていることを意味しますので、この制度の対象者とは符号しないと言えます。

生活保護制度の概要

もちろん、何かのアクシデントで生活保護になってしまった現役世代の人を対象に、生活保護からの脱却を支援するということに、我々FPが「家計相談事業」で関われるかもしれませんが、最低限度の生活を保証してもらっている人に節約を勧めるのか?というジレンマも、確かにあります。


例えばそのアドバイスは


「この食材よりもこっちを買いましょう」とか

「光熱費をあと数百円浮かせませんか?」


というスケールのアドバイスになってしまうからなんです。


それはともかく「生活保護費だけで本当に暮らせるのか」という重大なテーマもありますし、もしそのようなサポートができて、そのサポートで当人がそれなりに暮らせるようになるならば、生活保護者への家計アドバイスの重要性はあると思います。

ただ、このことを福祉事務所をはじめ、行政の方がどうとらえているかによりますが。


自営業者の老齢基礎年金のこと

そしてタブーに近いのがこの話題です(取り上げるとどんどん難しい議論になりそう、という意味でタブーです)


ここに65歳を超えて、老齢基礎年金を貰っている世帯があるとします。自営業をしていた世帯とします。

この世帯の老齢基礎年金は、満額受給で年額78万円 ですから、月額計算で65,000円、二人世帯ならば月額13万円となります。

仮にこの世帯が、生活費6万円、光熱費2万円、通信費1万円、車の維持費2万円、社会保険料2万円の支出でやりくりできるならば、この年金額(世帯分)13万円で何とか暮らせます。


ただ、こうも言えます。

2人世帯で月額13万円の年金ならば「何らかのアクシデントなどがあれば、すぐに貯金を取り崩すことになる」と。


もし、老後に病院通いが始まってしまい、もし毎月2万円の医療費がかかったら、20年間で、医療費のみで480万円を貯蓄から充てるということです。


商売も上手くいき、

借入金の返済の心配や住宅ローンの心配もなく、

自分のこどもも経済的に自立していて、

健康面にもなんの不安もなく、

夫婦円満で、

仕事をたたんだ時には少なくとも1000万円以上の純粋な貯金がある。


この時代にこのような自営業者さんが「ほぼ全て」でしょうか?


私が生活困窮者の家計相談の現場で見てきた例に、このようなケースが少なくないのは、私の担当している地域性ゆえのことだ、とは言い難いと思います。


そして老齢基礎年金と生活保護費のこと

では、先ほどのようなケースの人が生活保護を受けることがあるのでしょうか?

生活保護に関しては、お住いの地域・世帯の人数などを考慮して「基本的な生活費」を定めています。

これが「生活扶助基準額」です。


これに障害のあるなし、一定の年齢の子どもがいるかどうかで加算がされます。

また、住居費や医療費などが生活保護制度から支給されますし、NHKの料金や税金なども支払いが免除されます。


で、先ほどのケースならば、

「貯金を使い果たし、資産性のあるものは全て処分」して、それでもなお暮らせないならば、生活保護制度を利用することになるでしょう。


これは言い方を変えると、

「老齢基礎年金だけの世帯は、運が良ければ何とか人生を生活保護にならずに全うできる」

「老齢基礎年金だけの世帯は、病気の医療費や、借金返済などで貯金を食いつぶし、親族なども支援してくれない状態になり、生活保護制度でしか生活を維持できないならば、その制度でなんとか人生を終えることができる」

と、いうことになるのではないでしょうか?


そしてここからわかるのは、最も重きを置かれなければならないことは、生活保護制度の不正利用がどうしたなどという種類の議論だけでなく、

「生活保護にならないように、老齢基礎年金の受給額が本当に適切な額なのか、どうかを議論することではないか」

と思うのです。


そして、あくまでも国民に共通の年金制度である「老齢基礎年金」の制度を、生活保護費なども参考にしながら、もう一度考えてみるということにしか、老後破綻、下流老人を避ける方法がないように感じています。


生活保護世帯の家計アドバイスや、生活困窮者の自立のための家計アドバイスを2年以上してきて思うことは、実はこのような「基本的であり、根源的な問題」が確実にあり、自分がそういう立場にならないとなかなか気づかないということです。

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ここまでが、その記事です。そして、現在に帰ります。



そんななか生活保護費の引き下げが行われる

そして2017年12月こんなニュースが飛び込んできました。

生活保護費引き下げへ 都内4人世帯で13%減の試算も(朝日新聞)


生活保護費と老齢基礎年金のことを議論すべきだと考えていたのに、それも行われず、今度は保護費の引き下げですか!


最低限度の暮らし、しかも文化的なレベルの暮らしを送る権利とは、一体何を意味するのかを、改めて考えないといけないように思うのは、果たして私だけでしょうか?

ソーシャルFPネットワーク 代表 石川智

 

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